退去前に借主が頼むのはどこか
茨木市では、人が住んでいる住宅のおよそ4割にあたる51,960戸が借家です(2023年住宅・土地統計調査)。借りている部屋を出るときに、何を自分で整え、何を貸主に任せるか。その線は、契約書と、国交省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の2つで引きます。

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掃除を頼む前に読む契約書
すでに部屋を借りている人の出発点は、手元の契約書です。ガイドラインは契約を結ぶときの参考として作られたもので、結んだあとは契約の中身に沿って扱うのが原則とされています。条文の意味がはっきりしないときに、ガイドラインを手がかりに貸主と話し合う、という順番です。写真はイメージです。
普通に暮らした傷みは家賃のうち
ガイドラインのいう原状回復は、入居した日の姿まで戻すことではありません。わざと、または不注意で付けた傷や汚れ、手入れを怠って生じた傷み、普通とはいえない使い方による傷みを直すことを指します。経年変化(時間とともに自然に古びること)や通常損耗(普通に暮らして付く傷み)の修繕費は、毎月の家賃に入っているものとして扱われます。
貸主が持つ清掃と、借主に残る汚れ
専門業者が部屋全体を仕上げるハウスクリーニングは、借主がゴミの片付け、掃き掃除や拭き掃除、水回りや換気扇・レンジまわりの油落としといった通常の清掃をしていれば、ガイドラインの表では貸主が負担するのが妥当とされます。新しい借り手を募るための費用、という見方です。一方、水回りの水垢やカビ(風呂、トイレ、洗面台)と、コンロを置く場所や換気扇に付いた油汚れ・すすは、住んでいる間の手入れ不足が原因なら、借主の善管注意義務違反とされることが多いとあります。善管注意義務とは、借りた物を常識的な注意を払って扱う義務のことです。退去前に業者へ頼む意味があるのは、こちらの汚れです。
クリーニング特約の読み方
契約書に「退去時の清掃費は借主の負担」といった一文があれば、それがクリーニング特約です。本来は貸主が持つ清掃費を、借主が払うと決めておく約束を指します。
特約が認められる3つの条件
ガイドラインは、借主に特別な負担を負わせる特約が認められる条件を3つ挙げています。特約にする必要があり、暴利といえない合理的な理由があること。本来の原状回復より重い負担だと、借主がわかっていること。そのうえで、借主が負担すると意思を示していること。特約を置くなら契約書にはっきり書き、単価などを示しておくことも、争いを防ぐうえで欠かせないとしています。
金額が書いてあるかを確かめる
ガイドラインのQ&Aでは、特約の有効・無効を、借主が負う内容と範囲が示されているか、通常損耗まで負担させる趣旨と範囲が書面か口頭で伝えられているか、金額が妥当か、で判断するとしています。紹介されている東京地裁の判決は2つです。平成21年9月18日の判決は、汚れの有無に関係なく専門業者の清掃代2万5000円(消費税別)を借主が払うと明確に合意した特約を有効としました。平成21年1月16日の判決は、「ルームクリーニング費用は借主負担」という程度の書き方では、通常損耗の分まで負わせる特約とはいえないとしています。
特約で払うなら二重にしない
特約で清掃代を払うことが決まっているのに、同じ場所を自分でも業者に頼むと、同じ箇所の掃除代を二回払う形になりかねません。管理会社には「特約の清掃に入らない場所はどこか」を具体的に聞いておくと、業者に頼む箇所がはっきりします。
立会い日から逆算した日程
電気と水道を止める前に
作業ではお部屋の電気と水道をお借りするので、止める手続きの日より前に作業日を置いてください。当日のお願いごとはトップページにまとめています。家具や家電を運び出したあとのほうが、掃除する場所のまわりを空ける手間がかかりません。
3〜4月の退去は早めに
春は引越しが重なる季節で、その混み具合は中古住宅の入居前のページで、12月の依頼の増え方は大掃除を業者に頼むページで紹介しています。退去日が決まった時点でご相談いただくと、立会い日までの空きから作業日を選べます。
仕上がりを撮っておく
ガイドラインのQ&Aは、日ごろの掃除に加えて退去時の掃除にも気を配るよう借主に求めています。ふだんの掃除をさぼった結果、専門の清掃でしか取れないカビが生えたなら、それも善管注意義務に反するとの考え方です。入居時と退去時に貸主と借主がそろって部屋を見て、チェックリストや写真で状態を残すことは、トラブルを避けるのに大変有効とも書かれています。掃除が済んだら水回りを日付のわかる形で撮っておくと、立会いで話がしやすくなります。
